改めて、東日本大震災で被災された皆様に、謹んでお見舞いを申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を、心よりお祈り申し上げます。今月からは通常通り、税務情報を皆様にお届けします。「適用額明細書の添付について」をご案内します。
■ 租特透明化法
租税特別措置に関して、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律が制定されたことによって、法人税の申告の際に適用額明細書の添付が義務づけられることになりました。
この法律は、租税特別措置の適用状況の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進して、国民が納得できる、公平で透明性の高い税制の確立に寄与することを目的としているため、その適用実態の把握と、その効果の検証のための仕組みづくりとして、法人税関係特別措置の適用を受ける場合には、その適用状況を記載した適用額明細書を添付させることとしています。
■ 適用額明細書
適用額明細書とは、法人(人格のない社団等も含まれます)が、法人税関係特別措置の適用を受ける場合に、その租税特別措置法の条項や適用額等を記載して、法人税確定申告書に添付しなければならない書類です。
適用額明細書の様式は、一覧表形式になっていますので、複数の租税特別措置の適用を受ける場合であっても、適用額明細書は1枚で足りることになります。
■ 法人税関係特別措置
適用額明細書に記載しなければならない法人税関係特別措置とは、法人税に関する租税特別措置のうち、税額または所得の金額を減少させるものをいいます。
具体的には、次のようなものが該当することになります。
- 中小企業者等の法人税率の特例(軽減税率、租税特別措置法第42条の3の2)
- 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(同法第42条の4)
- 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却(同法第42条の6)
- 優良賃貸住宅の割増償却(同法第47条)
- 特定の資産の買換えの場合の課税の特例(同法第65条の7)等
■ 添付しなかった場合等
適用額明細書を添付しなかった場合や、あるいは、虚偽の記載をした適用額明細書を添付した場合には、法人税関係特別措置の適用を受けられないこととされていますので、注意する必要があります。
ただし、添付漏れや虚偽の記載をした適用額明細書を添付した場合であっても、適用額明細書の提出や、誤りのない適用額明細書を再提出したときは、税務署長は、故意である場合を除いて、その適用額明細書に係る法人税関係特別措置を適用することができることとされています。
■ 適用開始
適用額明細書の添付は、平成23年4月1日以後に終了する事業年度から必要となりますので、平成23年4月決算法人から添付が開始されることになります。
なお、適用額明細書の添付は、法人税の確定申告の際だけでなく、法人税関係特別措置の適用額が変更となる修正申告の際にも必要となります。