今月の税務情報は、「特別還付金制度の新設」についてご案内します。
■ 特別還付金制度
遺族が年金として受給する生命保険金のうち、相続税の課税対象となった部分については、所得税の課税対象にならないとする最高裁判所の判決(平成22年7月6日)を受けて、相続等に係る生命保険契約等に基づく年金に対する税務上の取り扱いが、平成22年10月に変更され、過去5年以内のものについては、すでに所得税の還付手続きが行われています。
平成23年6月22日に成立した所得税法等の改正によって、平成12年分以後の各年分について、納めすぎとなっている所得税相当簡を特別還付金として支給する制度が新しく設けられました。
■ 対象者と請求期間
特別還付金の対象となるのは、平成12年から平成17年の間に相続等に係る生命保険契約等に基づく年金を受給していた人です。
特別還付金の請求期間は、平成23年6月30日から平成24年6月29日までとなっていますので、注意する必要があります。
なお、特別還付金の支給を受けることができるかどうか、また、特別還付金の支給額については、保険年金の額や所得税の非課税部分の額、所得金額などによって異なることになります。
■ 対象となる保険
対象となる保険は次のいずれかで、本人が保険契約等に係る保険料等の負担者でない場合です。これまでに保険年金の税務上の取扱いの変更によって、すでに所得税の還付手続を行った年分は除かれます。
- 年金型保険 − 死亡保険金を年金形式で受給していた人
- 学資保険 − 学資保険の保険契約者が死亡し、養育年金を受給していた人
- 個人年金保険 − 個人年金保険契約に基づく年金を受給していた人
■ 過去5年分の対応
過去5年以内の年分(原則として平成18年分以後の年分)については、確定申告をしていない年分については確定申告(還付申告)によって、また、確定申告している年分については更正の請求によって、所得税の還付を受けることができるため、特別還付金の対象とはなりません。
■ 請求手続き
特別還付金の請求については、「特別還付金請求書」に「特別還付金の額の計算明細書」や一定の書類を添えて、税務署で手続をする必要があります。
必要書類としては、保険年金の受給期間や受給総額などが分かる書類(保険年金の契約書の写しや保険会社等からの年金支払通知書の写しなど)や請求する各年分の年金受取額、年金受取額に対応する支払保険料・掛金額の分かる書類などが挙げられます。
なお、特別還付金の対象となる保険年金を受給していた人が、請求手続をする前に死亡している場合には、その相続人が特別還付金の請求手続を行うことができます。
■ 特別還付金に対する課税
特別還付金や加算金については、所得税、住民税は非課税とされています。