今月の税務情報は、「扶養控除等の改正」についてご案内します。
■ 改正の概要
平成22年3月の税制改正で、扶養控除等の改正が行われました。これは、民主党政権になって中学生以下の子どもを対象に子ども手当が創設されたこと、高校の授業料の実質無償化が行われたことに伴い、控除から手当へという考え方のもと、控除が縮小されたものです。
扶養控除等の改正に伴って、源泉徴収事務の際の扶養親族等の数や扶養控除等申告書等の様式も改正されています。
なお、これらの改正は平成23年分の所得税から適用されます。
■ 扶養控除の改正
子ども手当の対象が中学生以下の子どもであることから、16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)に係る扶養控除が廃止されました。
また、従来は、扶養控除額の加算が行われていた特定扶養親族のうち、年齢16歳以上19歳未満(高校生の年代)の人については、特定扶養親族(控除額63万円)ではなく、一般の扶養親族(控除額38万円)とされました。
なお、扶養親族が同居特別障害者に該当する場合の、扶養控除額の加算措置(35万円)については、廃止(障害者控除への改組)されました。
■ 配偶者控除の改正
控除対象配偶者が同居特別障害者に該当する場合の、配偶者控除額の加算措置(35万円)について、廃止(障害者控除への改組)されました。
■ 障害者控除の改正
控除対象配偶者、扶養親族が同居特別障害者に該当する場合の障害者控除額の加算措置(35万円)が新設されました。
これによって、控除対象配偶者または扶養親族のうちに障害者がいる場合の障害者控除額は、その方が一般の障害者である場合には27万円、その方が同居特別障害者に該当しない特別障害者である場合には40万円、その方が同居特別障害者である場合には75万円となります。
■ 扶養親族等の数の改正
源泉徴収事務の際に使用する扶養親族等の数については、控除対象配偶者および控除対象扶養親族(扶養親族のうち年齢16歳以上の人)の合計数(本人が障害者等に該当する場合、控除対象配偶者または扶養親族のうちに障害者または同居特別障害者がいる場合の加算措置については、従来どおり)とされました。
この改正は、今年の1月以降に支給する給与、賞与に対する源泉徴収税額の計算から適用されています。
■ 扶養控除等申告書等の様式の改正
扶養控除等の改正に伴って、扶養控除等(異動)申告書の様式が改正されています。
従来は、扶養親族を記載していたB欄には、控除対象扶養親族を記載することになりました。また、市区町村長に提出する扶養親族申告書の記載欄を兼ねるものとして、住民税に関する事項欄が新設され、16歳未満の扶養親族については、この欄に記載することになりました。
なお、源泉徴収簿の様式についても改正されています。