今月の税務情報は、「法人税率の改正」についてご案内します。
■ 改正の概要
平成23年11月30日に成立した「経済社会の構造の変化に村応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(12月2日公布)によって、デフレから脱却し、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくため、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資の拡大を図る観点から、法人税の税率が引き下げられました。
一方で、同じく平成23年11月30日に成立した、いわゆる震災復興財源確保法(12月2日公布)によって、東日本大震災からの復興のため、復興特別法人税が創設されました。これらの内容について、確認していきましょう。
■ 法人税率の引き下け
法人税の税率について、従来の30%が25.5%に引き下げられました。この引き下げは法人住民税にも影響しますので、実効税率ベースで約5%の引き下げとなります。
この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されますので、3月決算の法人の場合には、平成25年3月決算から適用されることになります。
■ 中小法人の軽減税率
中小法人の年800万円以下の所得に対する軽減税率について、18%(本則は22%)が15%(本則は19%)に引き下げられました。
中小法人の年800万円以下の所得に対する税率は、本来は22%ですが、租税特別措置法による特例で18%となっていました。
今回の改正で、本則税率を22%から19%に引き下げたうえで、特例税率についても18%から15%に引き下げ、特例税率は、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されることになります。
■ 中小法人
軽減税率が適用される中小法人とは、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人と資本金を有しない法人(保険業法に規定する相互会社等を除く)です。
ただし、大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上である法人等)との間にその大法人による完全支配関係がある法人は除くこととされています。
また、平成23年4月1日以後に開始する事業年度からは、完全支配関係がある複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人についても、軽減税率の適用はありません。
■ 復興特別法人税
平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に開始する事業年度については、復興特別法人税が課税されることになりました。
復興特別法人税額は、各課税事業年度の基準法人税額(所得税額控除、外国税額控除等を適用しない場合の法人税額)の10%相当額となります。
したがって、法人税の税額は25.5%に引き下げられましたが、その10%の復興特別法人税が課税されるため、実質的な税率は、25.5%×1.1=28.05%となります。