今月の税務情報は、「貸倒引当金の改正」についてご案内します。
■ 貸倒引当金の損金算入
法人が、更生計画認可の決定に基づいてその有する金銭債権の弁済を猶予され、又は賦払により弁済される場合等で、その一部につき貸倒れ等による損失が見込まれる金銭債権(個別評価金銭債権)のその損失の見込額として、損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該事業年度終了の時において当該個別評価金銭債権の取立て又は弁済の見込がないと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(個別貸倒引当金繰入限度額)に達するまでの金額は、損金の額に算入することとされています。
また、法人がその有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(個別評価金銭債権を除きます。一括評価金銭債権)の貸倒れによる損失の見込額として、損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該繰り入れた金額のうち、当該事業年度終了の時において有する一括評価金銭債権の額及び最近における売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権の貸倒れによる損失の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(一括貸倒引当金繰入限度額)に達するまでの金額は、損金の額に算入することとされています。
■ 改正内容
税制改正によって、個別評価金銭債権及び一括評価金銭債権の貸倒引当金の損金の額への算入規定は、次の内国法人以外は適用されないこととされました。
- 中小法人等
- 銀行、保険会社その他これらに準ずる法人
- 売買があったとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人等
■ 中小法人等
中小法人等とは、普通法人のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの、公益法人等又は協同組合等、人格のない社団等(大法人による完全支配関係がある普通法人を除きます)をいいます。
■ 適用関係
この改正規定は、平成24年4月1日以後に開始した事業年度について適用されます。したがって、3月決算法人の場合には、平成25年3月期より適用されることになります。
■ 経過措置
次の経過措置事業年度については、改正前の規定により計算した個別貸倒引当金繰入限度額又は一括貸倒引当金繰入限度額にそれぞれの割合を乗じた金額を繰入限度額とする措置が講じられています。
- 平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する事業年度・・・4分の3
- 平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度・・・4分の2
- 平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度・・・4分の1
なお、平成27年4月1日以後最初に開始する事業年度の前事業年度においてこの経過措置の適用を受けて損金の額に算入された貸倒引当金勘定の金額は、当該最初に開始する事業年度の益金の額に算入されます。