今月の税務情報は、「旅費の非課税」についてご案内します。
■ 旅費の非課税
所得税法では、給与所得者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、もしくは転任に伴う転居のための旅行をした場合等に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるものについては、非課税としています。
■ 通常必要であるかどうかの判断
その旅費が通常必要であるかどうかについては、その旅行の目的、目的地、行路、もしくは期間の長短、宿泊の安否、旅行者の職務内容及び、地位等からみて、その旅行に通常必要とされる、費用の支出に充てられると認められるかどうかを判断することになります。
その際には、次の点を勘案することとしています。
- その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び、使用人のすべてを通じて、適正なバランスが保たれている基準によって、計算されたものであるかどうか
- その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が、一般的に支給している金額に照らして、相当と認められるものであるかどうか
■ 海外出張の場合
法人が支出する役員や使用人の海外出張の旅費についても、基本的には国内出張の場合と同様で、その海外渡航がその法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、その渡航のために通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費として損金の額への算入が認められます。
法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であっても、通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、その役員または使用人に対する給与とされます。
なお、その海外渡航が、旅行期間のおおむね全期間を通じて、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等、不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができることとされています。
■ 業務上必要なものとされない旅行
次の旅行は、原則として、法人の業務の遂行上必要な海外渡航に該当しないものとされています。
- 観光渡航の許可を得て行う旅行
- 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
- 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で、主として観光目的と認められるもの
ただし、その海外渡航の旅行期間内における旅行先、行った仕事の内容等からみて、法人の業務にとって直接関連のあるものがあると認められるときは、法人の業務にとって直接関連のある部分の旅行について、直接要した費用の額は、旅費として損金の額に算入することができます。