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2020年5月21日(木)
最新情報 今月の税務情報 vol.49 「業績悪化に伴う役員給与の減額」

今月の税務情報

はじめに、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴いまして、影響を受けられた方、不安を抱え我慢を強いられている皆様、営業活動を縮小・自粛されている関係各社様には、心からお見舞い申し上げます。また、全国の医療従事者の皆様や、感染防止にご尽力されている方々には、深い敬意と感謝を申し上げます。

大阪・京都・兵庫の関西3府県では、今日にも緊急事態宣言が解除されるということですが、今も苦しまれている地域があり、依然として感染リスクは残ったままです。どうかお身体には十分お気をつけくださいますよう、皆様のご健康と一日も早い感染の終息を、心よりお祈り申し上げます。

今回の税務情報は、「業績悪化に伴う役員給与の減額」についてご案内します。

昨今のコロナ禍によって、経済に対する深刻な影響が懸念されていますが、業績が悪化することで、社長をはじめとする役員への報酬(以下、役員給与)を、期中で減額せざるを得ない法人の増加が予想されます。法人税を計算する上で、役員給与は従業員への給与と取扱いが異なりますので、今回は法人税における役員給与の基本的な取扱いと、役員給与の減額についてご説明します。

■ 法人税における役員給与とは

 (1)法人税における役員

法人税での「役員」は、会社法より範囲が広く、具体的には次のとおりです。

次のいずれかに該当=法人税における“役員”
  1. 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人

  2. 取締役又は理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等

  3. 合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員

  4. 人格のない社団等の代表者又は管理人

  5. 法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者

  6. 相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められる者

  7. 同族会社(※)の使用人のうち一定割合の株式保有(出資)等をしており、法人の経営に従事している者
(※)株主グループ3つまでの組み合わせで資本金の過半数を占める法人

また、法人税では、取締役部長や取締役工場長等、役員でありながら使用人としての地位を有し、常時使用人としての職務に従事している者を「使用人兼務役員」といい、その者への給与のうち、使用人部分を除いた給与を役員給与として取扱います。

 (2)従業員への給与との違い

従業員と役員の給与の違いは、下表のとおりです。役員給与は、基本的に法人と役員との間で交わされた委任契約に基づき、“職務執行の対価”として支払われるものです。

支払先 支払の対価(給与)
基本的な性質 法人税の計算上損金となる要件
従業員 法人と従業員との間で交わされた雇用契約に基づき、“労働の対価”として支払われるもの 過大なものと認められるなど、一部の例外を除いて、損金として認められる
役員 法人と役員との間で交わされた委任契約に基づき、“職務執行の対価”として支払われるもの 次のいずれかに該当し、高額等でないこと
1.定期同額給与
2.事前確定届出給与
3.業績連動給与

また、役員給与として法人税の計算上、損金として認められるものは、次の3つのいずれかに限られています。

概   要
1.定期同額給与 1か月以下の期間ごとに支給される給与で、その事業年度の各支給時期における支給額又は手取額が同額である給与その他一定の給与
2.事前確定届出給与 1.又は3.以外で、あらかじめ定めた支給時期や支給額等に基づき支給する給与等(一定の場合を除き税務署へ期限内の届出が必要)
3.業績連動給与 業務を執行する役員に対して支給する一定の指標等に基づき連動する給与で、一定の要件に該当するもの

なお、上記のいずれかに該当しても、不相当に高額であるなど一定の場合には、損金として認められません。

■ 業績悪化による給与の減額

法人の経営状況が著しく悪化したことなどの理由(以下、業績悪化事由)により、その事業年度において給与の減額を行う場合に、支給する役員給与の全額を損金として認めてもらうには、次の点に留意します。

留  意  点
1.定期同額給与 その事業年度の各支給時期における支給額又は手取額が改定前と後で各々同額であること
2.事前確定届出給与 減額の決議日から1か月を経過する日(それまでに支給日が到来するときは支給日の前日)までに変更の届出を行う

業績悪化による給与の減額について、2つのケースをご用意しました。減額する際の留意点をご確認ください。

なお、一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標値に達しない、あるいは利益調整などの理由で行う給与の減額は、業績悪化事由に該当せず、減額前後の差額は損金として認めてもらえません。

役員給与の減額を検討される際には、当事務所へご相談ください。

ケース1 定期同額給与の減額を期中で行う場合

ケース2 事前確定届出給与の減額を期中で行う場合


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