あけましておめでとうございます。寒さ厳しき折、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
昨年末に米国で新型コロナウイルスのワクチン投与が開始され、感染終息の道筋が見えてきたかに思いましたが、一昨日に緊急事態宣言の再発令を検討される事態となり、当分不安は続きそうです。今年こそは東京オリンピックが開催されて、ウイルス克服を象徴するような、希望あふれる大会となりますように、安心できる日常が戻ってくることを願わずにはいられません。皆様どうか引き続き、感染防止対策を実践していただいて、健やかでご多幸な一年となりますことを、心よりご祈念いたします。
今回の税務情報は、確定申告をする時にどうしても気になる、「個人が国等から受け取る給付金等の課税関係」についてご案内します。
コロナ禍の影響による給付金等の支給が、国や地方公共団体(以下、国等)から行われていますが、この給付金等に係る課税関係は、その都度判断する必要があります。そして、個人が課税される給付金等を受け取る場合には、どの所得に該当するのかも判断しなければなりません。そこで今回は、国税庁から公表されている情報を基にして、国等から個人へ支給された給付金等に係る課税関係を、それぞれ細かく確認していきます。
■ 課税となるもの、ならないもの
個人が国等から支給を受けた給付金等について、課税となるもの、課税されないものの区別の仕方は、原則として次のとおりとなっています。
課税となるもの |
以下の非課税以外 |
課税されないもの
(=非課税) |
次のような給付金等
- 給付金等の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの
- その給付金等が次に該当する等して、所得税法の規定により、非課税所得とされるもの
- 学資として支給される金品
- 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金
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■ どの所得に該当する?
個人の所得税の計算上、その発生の要因等に応じて、次の10種類の所得のうちのいずれかにあてはめた上で、それぞれの所得ごとに所得金額を計算します。
10種類の所得 |
- 事業所得
- 不動産所得
- 利子所得
- 配当所得
- 給与所得
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個人が国等から課税となるものに該当する給付金等の支給を受けた場合には、上記のうち、どの所得に該当するのかを判断しなければなりません。
その判断となる指針が、国税庁の「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(以下、資料)で、以下のように示されています。
(1)事業所得等 |
事業に関連して支給される給付金等
例)事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金等の必要経費に算入すべき支出の補てんを目的として支給するもの |
(2)一時所得 |
事業に関連しない助成金で臨時的に一定の所得水準以下の方に対して一時に支給される給付金等 |
(3)雑所得 |
上記(1)(2)いずれにも該当しない給付金等 |
■ 具体的な例示
個人が国等から支給を受けた給付金等について、課税となるもの、非課税となるもの、この2つの例示が上記資料内に記載されています。その他、2020年から新たに給付金等として支給されるものを一部含め、以下にまとめました。
非課税となるもの(例示) |
- 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金
- 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金
- 特別定額給付金
- 子育て世帯への臨時特別給付金
- 学生支援緊急給付金
- 低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
- 新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
- 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例
- 措置における割引券
- 東京都のベビーシッター利子支援事業における助成
- 簡素な給付措置(臨時福祉給付金)
- 子育て世帯臨時特例給付金
- 年金生活者等支援臨時福祉給付金
- 東京都認証保育所の保育料助成金
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課税となるもの(例示) |
(1)事業所得等 |
- 持続化給付金(事業所得者向け)
- 家賃支援給付金
- 農林漁業者への経営継続補助金
- 文化芸術・スポーツ活動の継続支援
- 東京都の感染拡大防止協力金
- 雇用調整助成金
- 小学校休業等対応助成金
- 小学校休業等対応支援金
- 肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
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(2)一時所得 |
- 持続化給付金(給与所得者向け)
- GoToキャンペーン事業における給付金
- すまい給付金
- 地域振興券
- マイナポイント
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(3)雑所得 |
- 持続化給付金(雑所得者向け)
- 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券(通常時のもの)
- 東京都のベビーシッター利用支援事業における助成(通常時のもの)
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■ 一時所得にご注意を
事業所得や雑所得は、収入金額から必要経費を差し引いて所得金額を計算します。
一時所得は、収入金額からその収入を得るために支出した金額を差し引き、そこからさらに最大50万円を控除することができます。そのため、その年中に一時所得となる金額すべてを足した合計が50万円を超えない限り、実質課税はされません。
一時所得として注意すべきは、保険金の満期返戻金や解約返戻金として一時金を受け取った場合、あるいはふるさと納税を行うことで、ふるさと納税の返礼品を受け取っている場合です。これらは一時所得となりますので、ご注意ください。