2021年9月24日(金)
今回の税務情報は、「電子取引の保存方法」についてご案内します。来年1月から変わる、電子メールを経由して収受した請求書等のデータ保存の仕方について、具体的にはどのように保存をすればいいのか、国税庁から公表されている 資料(※) を参考にして、確認していきます。 ■ 電子取引とは 1.書類の保存義務 所得税法及び法人税法では、取引に関して相手方から受け取った注文書、領収書等や相手方に交付したこれらの書類の写しの保存義務が定められています。 2.電子取引とは 電子取引とは、上記1.と同様の取引情報(書類に通常記載される日付、取引先、金額等の情報)の授受を、電磁的方式により行う取引をいいます。具体的には下図の他、次のデータの授受も電子取引に該当します。
上記1.の保存義務者がこの電子取引を行った場合には、その取引情報を電磁的記録により保存しなければなりません。これまでは、書面に印字して保存する方法も認められていましたが、来年1月1日以後に行う電子取引の取引情報から認められず、下記3.の要件を満たしたデータ保存が求められます。 3.電磁的記録の保存等を行う場合の要件 電子取引の取引情報を電磁的記録で保存等するに当たっては、真実性や可視性を確保するための要件を満たす必要があり、具体的には以下の要件となります。
国税庁の 資料(※) より、要件を満たす具体的な保存方法の一例をご紹介します。
なお、事務処理規程や索引簿は、国税庁のサイトからひな型をダウンロードすることができます。 ■ データ保存の際の留意点 電子取引の例(イメージ)でのデータ保存に関しては、以下の点に留意します。 1.取引先A社利用のクラウドサービスを用いた請求書等の授受 訂正削除の記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムが具備されたクラウドサービスを利用していれば問題ありませんが、例えばクラウド上で一時的に保存されたデータをダウンロードして保存するようなシステムの場合には、下記2.と同様の点に留意する必要があります。 2.取引先B社からの電子メールによる請求書等の授受 データは、例示の他、ハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存します。この場合、当該データに一定のタイムスタンプが付与されていないときは受領者側でタイムスタンプを付与するか、一定の事務処理規程に基づく適切なデータ管理が求められます。 また、対象となるデータは、原則、検索可能な状態での保存が求められる点にもご留意ください。なお、添付ファイルによる電子メールでの授受は、当該添付ファイルのみの保存で問題ありません。
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